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Channel: 70-80年代アイドル☆ピンク・レディー☆昭和TVワンダーランド
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キョドる理由とは?「あの頃に もう一度」 早見優

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さてさて…とうとう梅入り宣言が公布され雨のシーズンがやってまいりましたネ。雨と言えば靴は濡れるワ、裾も濡れるワ、恋人も濡れるワ(←コレは違うのでは?)で…ロクなことがないイメージしかないのだけんど、この降るべき時期に降らないとタ~イヘンってなことになるからネ。あのニッポンのあつ~い夏に備えて水のビチクをする必要性があるからして…異様などしゃぶりをカマすゲリラ豪雨などになりませぬよう「ほどほどマイ・ダーリン」?適度に降雨していただき、今年の梅雨をエンドとしてほしいものでゴザイマスよね。

それはそうと…どしゃぶりと言えば、昭和アイポの世界にも該当するものがいくつかゴザイマシタよね。ってなワケで今回はココにコジつけさせて頂き、ワイハ育ちのあの方が放ったこの1曲をレビュってみようと思うのでありまする。

表題の「あの頃に もう一度」は早見優さんのシングル第4弾として、1983年1月21日に発売された楽曲。

この頃の優ちゃんと言えば、花の82年組のひとりとして前年度の4月に大手プロ(サンミュージック)より華々しくデビュー。そして同年度末に開催された「日本レコード大賞」における新人賞では、小泉今日子さんや中森明菜さんを押しのけて本選へ…とハタから見ると順風満帆だった頃である。しかしながら実際のトコロは表題曲のひとつ前シングル「アンサーソングは哀愁」(阿久悠氏が作詞を担当)でやや伸び悩みを見せるなど…今後の売り出しイメージを模索していたと思われるぷち迷走期?決してどしゃぶりではないけれど、ワイハの陽光が彼女をカンカンに照らしつけていたとは言えない、そんな状況下におられたのでありまする。

優ちゃんと言えばそれこそ静岡県熱海生まれのワイハ育ちという、特異な生い立ちを持つアイドルさん。デビュー曲ではそのイメージを彷彿とさせる作品を授かったものの、その後はなぜかマイナー調続き。しかも失恋だの、哀愁だの…と、リリースする度にその暗さが増してゆくという?やや不可解な方向へ。なんせこの頃は優ちゃんがアイドルとしてブレイクしたアレ(「夏色のナンシー」)前夜の話でゴザイマスものね。

このような状況下で放たれたのが表題曲ということになるのだが、この曲もまたまた懲りずのマイナー調。しかもズブ濡れになりながらの失恋~シアワセだったあの頃に戻りたいワという、若さハジける娘ざかりにはなんとも似つかわしくない内容で、当時の優ちゃんにおける等身大ソングとはちと言い難い雰囲気。まぁ、発売が年の内でイチバン寒い1月、しかもアメウタと言っても夏を前にしたこの時期の雨とはその趣が大きく異なるという…なにかとても冷たくて突き刺さるような「痛い雨」とでも表現したらよろしいのかしらん。ならばこのねずみ色の作風にはガッテンかしらね。

♪タッタラタッタラタッタラタッタラタッ

ドラムの軽快なサウンドからおっぱじまり、間髪入れずの唄いだしはコレ。

♪あなた 追いかけて 追いかけて どしゃぶりの中
 ひとり 泣きながら 泣きながら ずぶぬれのまま

のっけから悲しみのどん底(ズンドコ?)といった風。コチラまで重いキブンにさせられるけんど、ひとまずは解説を続けないとネ^^;。

本作品の作詞ならびに作曲は松宮恭子氏、そして編曲を担当されたのは鷺巣詩郎氏である。冒頭のドラムはどうよコレ…♪あなた追いかけて追いかけて~絶望寸前の主人公がズブ濡れ覚悟で雨の街へと飛び出してゆく際の靴音?そんな状況を表現したかったのではないかしらんと妄想。だってこの太鼓サウンドの後に続くストリングスの調べだって…不安をかきたてられるソレ以外のナニモノでもゴザイマセンといった風だし。この推測が当たっているのだとしたら、鷺巣センセイが施されたアレンジにナイスぽちっと!を差し上げたいトコロか。(笑)それのみならず、好アレンジが曲中の随所に散りばめられているのも、本楽曲の特長でもありますがね。

そして詞と曲の両方を手がけた松宮センセイと言えば、80年代初頭にかけてそのお名前をかなり多く目にした方でもある。おそらく彼女の歌謡曲ワークにおける旬はこのあたり?だって見てよ、下記の作品群。

涙のジルバ(高田みづえ)、潮風の少女(堀ちえみ)、涙のコンチェルト(石毛礼子)、未経験(中野美紀)、リリカルなさよなら(矢野良子)、Hey!ミスター・ポリスマン(石川秀美)、愛をください(河合奈保子)、カナリア(倉田まり子)、ひき潮(榊原郁恵)、め・ま・い三秒(山口かおり)、パールモンド・Kiss(渡瀬麻紀)、ダブルブッキングなんてこわくない(細川直美)など

マニア垂涎の良質作品がズラリンコン!こういう状況下におられた松宮センセイが、優ちゃんのためにノリノリで書きあげてしまったのが表題曲?いやちょっと待った!そう解釈してしまうのはまるっきりの早合点というものヨ。まぁ、コレに関しての説明は後ほど。(笑)

♪気づいていたのよ 優しくなったから
 電話くれたり 送ってきたり あなたらしくない
 口が悪くって わがままなところ
 はにかむような やさしい瞳 好きだったのよ

♪窓をつたう雨が 激しくなるわ

普段は口が悪くわがままだった彼。その彼がいきなりマメなヤサ男に豹変。コレは疑う余地あり!といった最たるモノではないかと。なぜなら…

「ナニかを隠蔽しようとする時、極めて挙動不審な態度をとる」

こういう習性が我らにはあるらしい。どうよ、コレ…おそらくは皆様にだって一度や二度くらい(もっと?)の身に覚えがあるのでは…?そしてこのお歌の主人公も感づくのがお早いようで…かなりカンの冴えた人物と見た。俗に言う“オンナの勘”と呼ぶべきものなのかしらね、ナゾ。(笑)

それはそうとこの主人公が置かれた状況とはいかに?ホントにどしゃぶりの街へ出てずぶぬれ~になったのか?そして破局を確信した決定的瞬間を目撃したのか?単に悲劇のヒロインになった挙句の妄想だったのか?このあたりの詳細がいまひとつハッキリしてこないもので、歌詞全体を追って我なりに分析をしてみましたノ。(笑)

1:主人公は恋の終わりを悟りながらも、確信を求めどしゃぶりの街へ。そこで決定的瞬間を目撃!
2:恋の幕切れを悟り絶望の淵。彼の幻影を追いどしゃぶりの街を彷徨った。
3:自分の置かれた状況が、あたかもどしゃぶりの中でずぶぬれ同然だと嘆き悲しんだ。

上記1と2の解釈はいずれもホントにずぶぬれになってしまうパターンで、3のみがそうでないモノということになる。女子アイドルの曲なので3の線もアリかな?とは考えてみたものの…

(窓をつたう雨が 激しくなるわ)→(窓にうつる私 雨がぬらして)

このクダリにより主人公が内→外へと動かされているのではないかとみた。このことから考えるに3の仮想パターンってのが候補から早々と消えるワケでありまして。となるとやはり1か2…いずれも実際に主人公がずぶぬれになったケースということになる。基本的に歌詞というものは聴き手の想像力で解釈すればよし!というものだと思うので、絶対的な回答というモノは存在しないのではないかと。だけどあえて…とうことであれば、ワタクシメ的推理における答えは1かしらね。まぁ、1ともなれば優ちゃん2ndシングル「Love Light」の悲惨度を更にグイ上げしたのが本曲ということになるようだが。

「あの頃に もう一度」

自分の力ではどうしようもない、たとえば時間の経過や確固たる真実など…なにか決定的な事実に阻まれている際の偲び…この想いこそがソレに該当するのではないかと考える。だって物事のヨリを戻せる可能性アリならば、そのようになるよう努める余地が残されているワケで。部屋でモンモン→あなた追いかけてどしゃぶりの中→決定的瞬間を目撃→泣きながらずぶぬれ→どん底…どうでショカ、この解釈。

このように徹底的に暗い曲ということになってしまうのだが、救いと言えば↑で笑顔のレコジャケかしらね。曲の作風にそぐわぬスマイルを振りまく優ちゃんがソコに佇むノ…この笑顔がサッパリ開き直った後の晴れやかなるソレというものなら安心といったトコロなのだが、どうこうなっておかしくなってしもうた後のうすら笑いのようにも見えてくるから困ったもの。

本楽曲はたかが3分のとても短い物語…である。されどその中には聴き手のイマジネーションをこれほどまでに刺激するドラマが潜んでいる。コレ…やっぱり傑作でしょ~歌詞よし、メロよし、アレンジよしの三拍子!優ちゃんのお声使いや表現力もデビュー当初のソレ比較で格段に良くなっていることが手に取るように分かるしで。ただマイナー調で内容も暗いため、デビュー2年目アイドルの新年明けて一発目として爆発的に売れるゾ!と、絶大なる自信を持って宣言できるタイプの曲ではないのだけんど。哀愁を唄わせたらニッポン一と言われた(当時)、つちやかおりさんあたりに唄わせたら、それこそお誂え向きだったのカモ?

当時の一般大衆もやはり同じように感じていたのか、この曲はオリコン最高27位、登場週数8、4.5万枚というジミめなお成績となる。後発シングルだった「夏色のナンシー」がバカ売れ(最高7位、登場週数17、26.9万枚)したのだから、やはり大多数はあのテの作風を優ちゃんに求めていたということになる。

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表題曲発売当時のプロモ用紙面広告。ヒットチャート赤マル急上昇中!と謳われている。トーラスレコードの販売は東芝EMIが手がけていたことも見て取れる。

ところでジレジレにジラしてしまいゴメンなさい…最後までひっぱってしまいましたワ。この曲の正体を暴いておりませんでしたよネ。実はこの曲…同じ事務所の先輩歌手、中山圭子嬢のボツ曲!って…マニアの皆様はとっくにご存知のお事柄でゴザイマスよね。

中山圭子嬢と言えば太陽の女王様こと松田聖子さまと色々ひともんちゃくネ…。この件に関してはかなり知られたお話になりつつあるからして、わざわざこの場でくどくど説明する必要性はないのかと思われ。是が非でも知りたいというお方は、当ブログのココでもご一読いただければと^^。なんでも例の一件でオクラ入りになっていた圭子さん用楽曲を、デビューするかしないかくらいの優ちゃんがたいそうお気に召され…ただし当初はレコード化は見送られたものの、1983年1月発売の新曲として実現したそうな。ってかサ…

♪ひとり泣きながら 泣きながら ずぶぬれのまま

なんなのヨ~コレ。この状況って当時の圭子嬢におけるご心境そのものだったのでは?松宮センセイが当時のさまざまな状況を把握されており、なおかつ確信犯としてコレをカマしたのであれば…やるわね、アンタ~見直したワ!って…いえいえ、センセイのことは昔っから…作家として好いておりますからん。(笑)

☆作品データ
作詞・曲:松宮恭子(1983年度作品・トーラスレコード)

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